キースイッチ分解 IBM 5576-001,002

IBM 5576-001,002のキースイッチは、非常に凝った構造で個性的なキータッチを持っているのですが、その反面ヘタりやすいようで、使用頻度の高いキーのタッチが柔くなってしまうことがあるようです。またキー上部が外れていたり壊れている中古品などもよく見かけます。このようなキーボードをレストアする場合、ハンダ付けされているキースイッチ自体を外して入れかえる、という手法を思い浮かべる方が多いと思いますが、このキースイッチは板金に固定されており、その裏に基板が貼り付いているため、キースイッチ本体を一つ一つ取り外す事が難しい構造になっています。

しかしキー上部のケースは比較的容易に取りはずす事ができて、板バネ、スプリングやスライド部品を交換することができますので、特定のキーがヘタってきた場合などは入れ替えてみるのもいいかもしれません。また、壊れたキーボードを「2個1」※1で復活させるのもいいですね。

※12個1(にこいち):壊れた同じものを2つ用意して部品を組み合わせて1つの正常品を作り上げる、という力技。車やバイクのレストアなどでもよく聞く言葉なのですが、普通の人はそんなことしないので一般的な言葉ではないらしい。

■分解手順
キー上部のケースは左右2つのツメで止められていますので、この片方を緩めればポロっと外れます。

そこで横から力を加えて外すわけですが、金属製のマイナスドライバーなどを使うとスイッチが傷ついてしまうので、ビニールテープなどを巻いて作業すると良いと思います。でもビニールテープってあまり耐久性なくてすぐに破れてしまうんですよね。2〜3個外す程度ならこれでもいけますが、大量に外す場合は、耐久性が高くて樹脂を傷つけないようなテープを使ってくださいな。(テープを使用せずに、ドライバ先端が当たる部分に厚紙などを敷いておくというのも良いかもしれません)

隅の方のキーは、キーカバーを支点にしてテコの原理で外します。支点には力が加わるので、傷つかないように厚紙などを挟んでおくと良いですね。

中央のキーは、隣のキーを支点にして外します。この時隣のキーには負荷が加わるので、下画像の→のように逆方向に力を加えながらキーにダメージを与えないように作業します。

この作業はコツがあって、ゆっくりじわっと力をかけると上手いこと外れないばかりか、キーのツメ、受け部分が割れてしまう可能性があります。素早くクイッと外すのがポイントなのですが、これは実際にやってみないとわからないですね。人気の高い5576-002をレストアする場合は、不人気で安価に入手できる5576-001※1で練習してから本番に望むのもいいかもしれません。また、今回紹介した手法が一番良いとは限りませんので(特に隣のキーをテコの支点に、なんてのは怒らせそうですし)、色々と試行錯誤でチャレンジしてみてくださいな。

※15576-001:これはこれで面白いキーボードだと思うんですけどね。キー配列が特殊ですが、ソフトウェア的にキーを入れ替えれば結構使えそうです。よくわからないキーも活用できますしね。

(01/07/01)
 
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