Cherry MXキースイッチ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ドイツのCherry社が製造しているG80シリーズのキーボードは、精度の高いしっかりとしたメカニカルスイッチが採用されていて、今ではキーボードにこだわる方なら知らない人はいない、という存在になっています。となると私としては、どんな構造なんだろうとキースイッチの中身を覗いてみたくなるわけですが、さすがに1万円もするキーボードをそう簡単にバラせないし・・・。 なんて思っていたら、なんと、某ショップの店長さんよりキースイッチのサンプルを貸して頂くことができました。感謝!。 なお、椀型キーボードで有名なKINESISのエルゴノミックキーボードにも、このMXキースイッチが使用されています。 各キーボードの詳しい情報は下記リンクをご参照下さい。 <参考リンク> ・Cherry Product-Keyboard(Cherry) ・ネオテック(右フレームのキーボード一覧) ・Kinesis Corporation
-G80シリーズ 型番の見方- G80-3000#$%&&
■MXキースイッチの種類 MXキースイッチは、主なものとして下記のような種類があります。
■スイッチの固定方法 MXキースイッチは下記のように、直接PCBに固定するタイプと、板金に固定するタイプがあります。Cherryが製造しているキーボードは、全てPCBに直接固定しているタイプのようです。
PCBに直接固定するタイプは、左下のようにキースイッチのケース裏側から固定用のピンが3本生えていて、なおかつ端子2点とジャンパ線2点の合計4点でPCBにハンダ付けされしっかりと固定されます。 板金に固定するタイプは、前者のようにPCBにしっかり固定する必要はないので、固定用のピンが1本と、端子2点のみが確認できます。ただしカタログを見るとジャンパ有りタイプも存在します。きっと基板設計上、ジャンパを飛ばす必要がある時に使用するのでしょう。
■各端子の解説 下記写真はPCBに固定するタイプのキースイッチの裏側です。中央下にはLEDの端子を出す穴が見えます。またカタログを見ると、ジャンパ線のかわりにダイオードが入っているキースイッチもあるようです。 ■キースイッチの分解 上部ケースの4点のツメを緩めると、簡単に分解することができます。ただしキーボードユニットとしてPCBに固定されている場合は、ツメの隙間が少なくなってしまうため簡単に分解することは出来ません。ただし薄い板金などををコの字状に曲げて、ツメを引っ掛けるように開く工具を作れば、なんとか分解できそうです。 ■コイルスプリング 左から Linear Action[黒], tactile feel[白], tactile feel(ergonomic)[茶], click tactile feel(水色)。 意外にも短いスプリングの方が重いタッチです。これは針金自体が太いからですね。もしかして焼入れの度合いや素材そのものにも違いがあるのかも知れません。 また、押下圧特性のグラフを見てもらうとわかると思いますが、長いスプリングほど、押し下げ始めと終りの力の差が少なくなっています。これは長くやわらかいスプリングを、あらかじめケースの中で縮めて収めているからだと思われます。 ■接点 接点は下記のような金合金を交差して配置したゴールドクロスポイントを採用しています。接触部分が点となるため、接触時に安定した電気的特性が得られるのでしょう。 ■動作 動作は下記の通り。キーを離している状態では、接点の板バネをスライダーが押していて、接点が離れているのですが、キーを押し下げると、スライダーの凸部が下がって板バネが戻り、接点が繋がります。この構造だと、キーを強く叩いても接点自体には余計な負荷が掛かりません。 ■スライダーの形状と押し下げ圧特性 下写真のように、各スイッチでそれぞれ板バネを押す凸部の形状が異なります。この形状の違いが、押し下げ圧特性の違いとなって現れているんですね。
■潤滑剤 接点とスライダーの凸部には潤滑剤が塗布されていて、摺動部の磨耗を防いでいます。 ■クリックタイプの動作 クリックタイプは他のスイッチと若干構造が違っていて、スライダーが2つの部品で構成されています。 下写真のように、白い樹脂部品は上下に動きます。 具体的な動作は下記の通り。押し下げ始めから途中までは白い樹脂が板バネに引っ掛っていて動作しませんが、ある程度押し下げると、上から青い樹脂に押されて、白い樹脂が板バネからスッと抜けます。そこで白い樹脂が下がって、青い樹脂のツメに当たるとカチッと軽いクリック音が鳴り、同時に接点も導通します。Bigfoot系などに使用されているALPSキースイッチ(クリックタイプ)の場合は、クリック音を出すために板バネが別に用意されていて、必ずしも「クリック音=導通」となるとは限りませんが、このスイッチの場合はクリック音と導通のタイミングが一致しています。ま、そんな細かいことは普通の人では知覚できないと思いますが、両者の構造の違いを比較するとなかなか面白いですね。
■クリックタイプの動画 要Macromedia Flash Player。 よく見るとツメの位置が下過ぎですが、大体の雰囲気はつかめると思います。 なお、Netscapeだとうまく表示されないようなので、こちらのFlashファイルを直接ご参照下さい。 ■まとめ ということで、えらい長くなってしまいましたが、こんな小さなスイッチでも、色々な工夫がなされているんですね。あらためて感心させられました。なお、これらのキースイッチを使用したG80シリーズのキーボードは、国内ではネオテックで取り扱っています。お値段は1万円程度。というと「キーボードに1万円は高すぎる」なんて声も聞こえそうですが、こんなキースイッチが100個以上載っているわけですから、分解を終えた今では、むしろ安いとも感じます。昔のしっかりとしたメーカー純正のキーボードも2〜3万円ぐらいしていましたからね。 ただしキーボードのタッチは人それぞれ好みや相性がありますから、まずは実際にふれてみて、その上で自分に合っているか判断してみてください。 Cherryキーボード 国内取扱店 ・ネオテック(秋葉原) http://www.neotec.co.jp/ ・本サイトのネオテック紹介記事 http://park16.wakwak.com/~ex4/kb/shop_neotec.htm (2002/05/01) |
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